中小企業の事業承継の手法としてM&Aがもてはやされています
M&Aは長い間、大企業だから可能であって、中小企業には無縁のものと考えられて来ました。しかし、後継者不足が深刻化し、環境が変化したことで、M&Aが中小企業の事業承継の手法として活用されるようになりました。
かつては主流だった親族内承継が、今や困難な時代になっている
30年~40年前は約90%あった親族内の事業承継が、現在は約35%となっており約65%が親族外事業承継となっています。
特に社外の第三者への事業承継は約40%となっておりますので、M&Aが行われる環境が進んでいるわけです。
これは社会構造の変化・中小企業を取り巻く環境の変化からもたらされています。
その原因としては、
- 後継者がいない。
- 団塊の世代が経営者となっており、経営者の高齢化が進んでいる。
- 先代経営者が亡くなり、経営能力のない配偶者や子供が引き継いでいる。
- 株式が分散しており、株主間でもめている。
- オーナー家以外の方が経営者となっている。
- 人口が減少しており、国内市場規模が縮小している。
- 業界再編が進んでおり、将来の経営が不安である。
- 株価が高額で相続対策ができない状況である。
等が考えられます。
中小企業経営者の半数以上が創業者
それ故に、後継者がいないという理由で、廃業してしまっては、
- 長い間かけて磨き上げてきた自社の技術やノウハウが失われてしまう。
- 取引先や顧客との間で築き上げてきた信頼関係が失われてしまう。
- 一緒に会社を支えてきてくれた従業員が職を失うことになってしまう。
このような問題を解決してくれる中小企業の事業承継の有効な手法として、M&Aがもてはやされ活用されているのです。
M&Aによりオーナー社長はいきなりリタイア、という道だけではない
中小企業のM&A実務では、その手法のほとんどが株式譲渡か事業譲渡のいずれかが採用されます。
株式譲渡を採用し、オーナー社長が一部自社株を残すという方法もあります。役員として会社に残り、事業の引き継ぎや統合が軌道に乗るまで見守ることが出来ます。
今回のコラムでは、中小企業の事業承継でM&Aが行われる現状と背景について簡単に見てみました。
次回の私のコラムでは、M&Aの手法を含めた基礎的な知識に触れたいと思います。
ひまわり税理士法人
蓮原 孝