遺産分割が行われるまで相続財産は共有される
共同相続の場合、遺産分割前は相続人全員が相続財産を共有されることになります。個々に遺産を勝手に処分することはできません。
相続財産は持分の割合に応じて共有される
複数の相続人がいる場合、相続した財産は、遺産分割が行われるまでの問、相続人全員が相続財産を共有されていることになっております。共有とは、物の所有権が、持分という形で、各自に帰属する状態のことです。相続によって共有が生じた場合、この持分の割合は、相続分の割合と同じになります。
たとえば、Aさんが1筆の土地を 残して死亡したとします。 相続人が妻のY子、息子のB男とC男だった場合、相続分はそれぞれに妻のY子(2分の1)、息子のB男(4分の1)、C男(4分の1)となります。この場合、遺産となった1筆の土地についても、妻のY子は(2分の1) 、息子のB男・C男はそれぞれに(4分の1)ずつの持分となります。
相続財産に現金や金銭債権がある場合
相続財産の中に現金が含まれており、また、その現金を相続人のだれかが管理している場合は、共有の相続財産の状態である限り、他の相続人は自己の相続分の額に応じた金銭の支払いを求めることはできません。
たとえば、Aさんが現金1,000万円を残して死亡し、長男のB男がそれを管理しているような場合に、次男のC男が「自分の相続分である4分の1にあたる250万円を支払え」と請求することはできません。これは、最高裁判所が判例として示した見解です。
しかし、相続財産の中に銀行等の預金が含まれている場合は、各相続人が自己の持分に応じた金額を銀行に支払うように請求ができる。
これについては、最高裁判所の見解です。つまり、Aさんが銀行に1,000万円の預金を残していたとしたら、C男は250万円を支払うように請求できるということになります。しかし、銀行の実務において、相続人のうちひとりが預金の払い戻しを請求されても、支払いには応じないというのが一般的で、通常は相続人全員の承諾書が必要です。