少し前の話になりますが、2017年12月22日に閣議決定された平成30年度税制改正の大綱が公表されました。
個人所得税の見直しにおいては、会社勤めの方に比べフリーランスの方への税制上の待遇が低く公平性に欠けるとの指摘により、基礎控除に微修正が入ります。ただ、この微修正があっちの規定の修正につながり、その修正がこっちの規定の修正につながり・・・と、ドミノ倒しのように修正がされています。
また、所得が多い方には増税となるのですが、増税も年収に応じて徐々に増加する規定となっています。課税の公平性(≒納得感)を実現するため、どんどん税計算が複雑化しています。
税計算が複雑化する背景の一つとして、税計算のシステム化が進み計算処理能力が上がっていることもあるのかなと感じています。
これまでは複雑にすればするほど実務負担が増すため、課税の公平性一辺倒とはいかず、実務負担が過度に高まらないようにも配慮されていたと理解していますが、情報処理技術の高度化により実務負担をそこまで考慮しなくて済むようになったことで、複雑化が進んでいる側面もあるかもしれません。
とはいえ、必要事項をシステムに入力して勝手に計算されて出てきた答えをそのまま申告すればいい、という話で終わりかというと、そうではないと考えます。
社長や経理部長に「なぜこの税額なの?」と問われたときに答えられる必要がありますよね。経理部門の税務担当者の方々も大変苦労されるのではないかと想像します。
たとえAI等に有利な税務規定を使って計算してもらったとしても、計算された結果を使うのは人間。どう計算されたか分からなければ、その先の意思決定もできません。この話は税務に限ったことではなく、企業経営のあらゆる場面で出るであろう話です。
情報処理技術がさらに進歩した時代を見据え、当法人も打ち手の準備を着々と進めていますが、情報処理技術に人間が使われるのではなく、人間が情報処理技術を使うという大前提を大切にして、進めています。
ひまわり税理士法人
蓮原 亮