仮説思考と網羅思考

前回のコラムでは、仮説思考をテーマとした法人内研修をご紹介しました。今回は、仮説思考がなぜ重要か、お話いたします。

仮説思考とは、現時点での答えを持ち、その答えを導く際に設定した仮説が正しいかを検証し、より精度の高い答えを出す、という思考プロセスのことを言います。仮説思考の反対に、網羅思考があります。網羅思考とは、できるだけ多くの情報を収集し、分析したうえで答えを出す、という思考プロセスです。一般に、人は網羅思考で考えがちといわれています。ビジネスにおいては、網羅思考は致命傷となる、とまで言われています。なぜでしょうか。

それは、たとえインターネットなどで情報へのアクセスが容易になったとはいえ、

  • 情報収集に時間がかかり情報収集している間に問題が変化してしまう
  • 情報収集しているうちに他社に出し抜かれ、利益を逃してしまう
  • 情報収集が目的化してしまい、収集した情報をコピペして答えが出た気になってしまう

という問題があるからです。

一方、仮説思考の場合は現時点ですでに答えを持っていますので、その答えに基づき関連する問題を対処していきます。関連する問題に対処している間に、答えを導く際に設定した仮説を事実に基づいて検証していきます。仮説を検証するためだけの情報収集をすればよいので、網羅思考のように膨大な情報を収集する必要がありません。また、仮説の検証という目的が明確になっているので、情報収集自体が目的化することを避けることができます。ただ、検証したところ、仮説が間違っていたため答えが間違っている、ということもあります。その場合は、すぐに別の仮説を設定し、答えを修正し、また仮説を検証すればよいです。とはいえ、「この仮説は間違っている」と分かった時点で、確からしい答えがすでに見えている場合がほとんどです。ビジネスマンにとって仮説思考は非常に大切なものです。周りに仕事ができる人がいらっしゃると思いますが、きっと自然と仮説思考を身につけていると思います。

「私はマーケティングはやらない」といわれる経営者の方がよくいらっしゃいます。それは、上記のように網羅思考の弊害を理解していらっしゃるからだと思います。マーケティング調査には時間がかかり、調査結果が出るころには時すでに遅し、の状況に陥りがちとなるためです。マーケティングも仮説思考に基づいて上手に使っていくことが必要ですね。

ひまわり税理士法人
蓮原 亮

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