「配当所得」ー 意外と知られていない、所得税と住民税の異なる課税選択適用制度

いよいよ確定申告が始まりました。憂鬱な人もいらっしゃると思いますが、上場株式の取引をしている方には、あまり知られていない耳寄りな情報があります。

上場株式等の配当所得は、申告不要・申告分離課税・総合課税の3つの課税方式を選択適用できます。
総合課税を選択すると、税金だけでなく国民健康保険料の負担が増えたり、児童手当が減ったり、高齢者の方は医療費負担が1割から3割に増加してしまったりするため、総合課税を選択する方は少ないのではないでしょうか。

ここで耳寄り情報です。

平成28年度から、個人住民税では住民税申告書を改めて提出することで、住民税にだけ申告不要を適用することができるようになりました。
所得税は総合課税を選択し、住民税は申告不要を選択することで、課税所得900万円以下(=所得税率23%以下)の方は、

申告不要や申告分離課税よりも税額が低く抑えられます

本当に税額が低く抑えられるかをこのコラムの最後に【検証】として記載しているので、気になる方はチェックしてみてください。
また、住民税の総合課税所得金額に影響がないので、

国民健康保険料の増加、児童手当の減少、医療費負担額の増加等もありません

自治体により適用がマチマチでしたが、平成29年度税制改正で明確化されました。
なお、住民税で申告不要を選択するには、多くの自治体のホームページで6月初旬の「納税通知書が送達される日までに、確定申告書とは別に、住民税の申告書を提出する」ことを求めており、申告書の「上場株式等の配当所得について申告不要制度を選択」に✓マークを付す必要があります。

ホームページに申告不要制度の記載がない自治体もありますし、自治体により申告書の様式も異なりますので、事前に各自治体に問い合わせたほうが確実ですが、「所得税は総合課税、住民税は申告不要制度」を適用すると、これまでより納税額が有利になりそうな方は、ぜひご活用ください。自分は有利になるのだろうか?とお思いの方、不明点や不安な点がある方は、遠慮なくご相談ください。

ひまわり税理士法人
蓮原 孝

【検証】

配当所得を含めた課税所得900万円・所得税率23%として、「所得税及び住民税とも総合課税」のケースと「所得税は総合課税、住民税は申告不要制度」のケースにおいて、どのような税率になるか見てみましょう。

(1)「所得税及び住民税とも総合課税」のケース

(所得税率-配当控除)×(1+復興特別所得税率)+(住民税率-配当控除)
(23%-10%)×(1+2.1%) +(10%-2.8%)= 20.473

(2)「所得税は総合課税、住民税は申告不要制度」のケース

(所得税率-配当控除)×(1+復興特別所得税率)+住民税特別徴収税率
(23%-10%)×(1+2.1%)+ 5% = 18.273

(1)では、申告不要や申告分離課税の20.315%より不利となります。一方、(2)では、申告不要制度や申告分離課税の20.315%より有利となります。
また、上述した通り、国民健康保険料の増加、児童手当の減少、医療費負担額の増加もないので、「いいとこ取り」ができます。

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