4月に入り春爛漫かと思えば、もう夏のような暑さを感じております。新しい年度も始まり、気分を一新し、日々の業務に取り組んでおります。
さて、以前「仮想通貨と確定申告」というタイトルでコラムを書かせて頂きましたが、今回は個人ではなく、法人にも焦点を当てて仮想通貨の取り扱いについて書きたいと思います。
個人と法人での仮想通貨の取り扱いについて共通点もあれば、相違点もあります。
共通点については、「利益の認識時点」です。仮想通貨を売却した時、仮想通貨で物を購入した時、他の仮想通貨に交換をした時に元の金額より得をしたのであれば、その得をした部分を利益とするという考え方は共通しています。
他方、相違点については、「税率」、「他の事業との損益の通算」、「期末時の会計処理」の3点が挙げられます。「期末時の会計処理」については、下記で詳細を記載していますが、税務上は差異がないため、ご参考までに見て頂ければと思います。
「税率」は、法人と個人では税率が異なる、ということです。個人の超過累進税率とは異なり、法人の税率は一定(※)であるため、利益が大きければ大きいほど、納税額に差が発生します。
「他の事業との損益の通算」は、個人の場合は、仮想通貨による利益は雑所得として取り扱われ、他の事業所得や不動産所得との損益通算はできません。一方で、法人の場合は他の事業の利益と損失を合算して法人全体の所得を計算します。つまり、法人の場合、仮想通貨では儲けたが本業の実績があまり芳しくなかった、というようなケースやその逆のケースでは、有効な手立てとなります。
「期末時の会計処理」は、法人と個人で取り扱いが大きく異なり、法人の場合は原則、期末に時価評価を行います。この会計処理方法は、企業会計基準委員会という日本の会計ルールを決める委員会が、2018年4月1日以後開始する事業年度から適用するとしています。しかしながら、税務上は現状、特段の定めがなく、原則的な取り扱いである取得価額で評価をするため、税金の計算上では時価評価を行わない個人の場合と差はありません。
以上のように、法人と個人の場合において、仮想通貨の取り扱いは異なっています。また、仮想通貨の取り扱いについては、まだまだ未確定な部分もあります。その時々の税制に則って正しい処理を行いたいと思います。
(※)法人の場合は一定又は2~3段階の税率です。詳細は国税庁のホームページをご参照ください。
ひまわり税理士法人
佐藤 由顕